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論泉 RONSEN

市民活動の現場


宇宙生まれ地球市民〜ふるさとは地球!〜

清水一憲

○若者の力で地域を活性化しようとした経緯

私達ヒューマンコミュニケーションは、10代・20代の若者を中心に平成14年に群馬県藤岡市で結成された。

きっかけは、その前年の平成13年に群馬県で開催された国民文化祭での取り組みである。当時、群馬大学の大学祭を国道17号線の群馬県庁通りで開催する事業が立案され、他大学院の大学院生であった私達もその事業に協力する事になった。

今になって省みると、大学生当時、大学の最寄り駅から大学までの道程を一人で清掃していたが、別段表彰もメディアの取材を受ける事など考えが及ぶ範囲にはなく、六年間黙々とその作業を行っていた身として、社会に貢献できる機会を探していたのかも知れない。その機会とも言うべき国民文化祭での学生事業の設立は渡りに船であった。

その学生事業の中身は、前述の県庁通りを歩行者天国にした上で、学生・企業・外国人を主体とした屋台村を創造する事である。その主体である屋台協議会という組織を設立し、2日間で72000人を集客し、市民吹奏楽団や獅子舞を上演して盛況の内にこの事業を終了する事が出来た。

この経験が、地元での地域づくり団体設立に繋がるのである。

具体的には、藤岡市政モニターを務めていた関係から藤岡市で地域活性化を促す地域づくり団体を市主導で設立する考えを質問した所、そうした活動は民主導が望ましいとの回答があり、地域が若い力を求めていた環境とも併せ、それならば私達がやろうではないかとの気運が高まった。

勇ましいというか、恐い者知らずというか、そのような経緯から当法人はスタートする事になる。

以下、環境保護を重点テーマに据えて活動を開始する当法人の主要事業とその意義を概観したい。

○藤岡祭りで「エコステーション」を設置

まず、祭りに於いてはゴミ対策と若者参加が地域を問わず、共通の課題となっている。

そこで藤岡祭りの特別事業として、ゴミ収集分別所であるエコステーションを企画し、出展した。そのキャッチコピーは「日本一綺麗な祭り会場」である。

添付資料の活動記録にも記載されているように、毎年の継続事業としてエコステーションは定着し、昨年には地元の高校と共同で清掃隊を結成し、ゴミ収集分別所であるエコステーションを祭り会場の3箇所に設置して清掃活動に取り組んだ。祭り開催期間中の高校生の参加者は50名程度となり、若者達がゴミ拾いを通じて郷土の祭りに参加した事は藤岡市からも高い評価を受け、参加各高校が藤岡市長より感謝状を授与された。

また、収集したゴミの中からアルミ缶を選別し、総量22.5sを換金して藤岡市ボランティアセンターが推進する「アジアに学校を建設しようプロジェクト」に寄付した。

こうした取り組みを行った上で、今年度は日本たばこ産業株式会社が推進する「ひろえば街が好きになる運動」がエコステーションに参加する事が決定している。尚、参加各高校は今年度、学校単位での参加を希望しており、更に若者の参加人数が拡大された環境の中で今年度エコステーションが開催される予定である。

同事業は、ゴミと若者参加の両面の課題の解決する取り組みとして、行政・地域からの支援を受け、環境保護を目的とした青少年育成事業として運営している。その事から、小さな街の祭りであるが故に祭り会場の面積が大都市の祭りより小さい事を逆手にとり、むしろその事がキャッチコピーである「日本一綺麗な祭り会場」を実現し易い要因として、藤岡祭りの特色として全国に発信していきたい。

○藤岡モーターショーの開催

地方分権が推進される社会で最も重要な事は観光振興である。地方分権は、地方自治体の財政が健全に運用される事を前提としなければ成立しない。

であるから、公共施設の赤字などは懸念すべき事態であり、こうした事態には他人事ではなく、地域住民が率先してその解決に取り組まなければならない。

そこで、当法人は藤岡市の第三セクターが運営する「ららん藤岡」を会場に、関東各地からチェーンアップカーサークルを集めた「藤岡モーターショー」を群馬の観光事業として開始した。

当法人や地域住民による実行市民委員会を結成し、ららん藤岡に事務局を置いて、今年度は「藤岡モーターショーはエコカッコイイ!」をキャッチコピーに関東中から集まった自動車100台・バイク20台を展示し、藤岡警察署・藤岡交通安全協会にもパトカーや白バイの展示、飲酒運転撲滅チラシの配布や同趣旨の幟設置・演劇の上演を行った。また、群馬県環境ボランティア協議会の協力により、環境学習車両「エコムーブ号」にも出展してもらい、会場に集まった子供達に環境学習を行って頂いた。

更に、藤岡モーターショーの収益金の一部を藤岡市に寄付し、その寄付金を環境保全の予算に繰り入れて欲しいとの要望を行った。

来年度は「車王国群馬県」をキャッチコピーに、地方分権時代を象徴する事業として「群馬モーターショー」として開催予定である。目標は「南の東京モーターショー、北の群馬モーターショー」として、企業運営の東京モーターショーに対し、市民運営の群馬モーターショーを群馬県の特色として全国に発信したい。

○まとめとして

当法人は今年度で設立五周年を迎えた。その活動テーマに「宇宙生まれ地球市民〜ふるさとは地球!〜」を掲げている。

これは地球を大切にし、当法人の事業内容自体にこの概念を盛り込むために明文化したものである。

昨今の報道等において、地球温暖化対策は緊急の課題である事はいうまでもない。

それを他人事ではなく、小なりとは言え公益を推進する市民法人として、また明日の社会を担う若い世代として、更に若い世代も環境保全をテーマに事業に巻き込んでいき、そうした活動そのものを同テーマにおける青少年育成の視野から推進している。

また、地方は若い活力を求めているにもかかわらず、若い世代は地方から流出している状況がある。私達は、自分達が生まれ育った故郷を大切に思い、具体的に活動し、その活動をホームページに掲載し、メディアに取り上げてもらいながら発信してきた。こうした取り組みに影響を受け、その波が少しでも広がる事への願いを込めて。

山を愛し、川を愛し、故郷を愛し、人を愛し、日本を愛する私達はこれからもその気持ちを大切にしながら前進していきたい。

■清水一憲

特定非営利活動法人ヒューマンコミュニケーション会長。著書に『NPOと観光振興』(あさを社、平成17年)。

平成19年6月20日

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