訳詞・陳五郎
I sat within a valley green
I sat me with my true love
My sad heart strove the two between
The old love and the new love
The old for her, the new
That made me think on Ireland dearly
When soft the wind blew down the glen
And it shook the golden barley
'Twas hard the woeful words to frame
'Twas worse the tie that bound us
But harder still to bear the shame
Of foreign chains around us
And so I said, "The mountain glen
I'll seek it morning early
And join the bold United Men
While soft wind shakes the barley"
While sad I kissed away her tears
My fond arms around her flinging
The foeman's shot burst on our ears
From out the wild wood ringing
The bullet pierced my true love's side
In life's young spring so early
And on my breast in blood she died
While soft wind shakes the barley
Then blood for blood without remorse
I've taken to Oulart Hollow
I laid my true love's clay cold corpse
Where I full soon will follow
And 'round her grave I wander here
Now night and morning early
With a breaking heart whene'er I hear
The wind that shakes the barley
緑の谷の奥深く
私は、愛する人と座っていた
私の哀しい心は苦悩した
古い愛と新しい愛のはざ間で
古い愛は彼女のために、そして新しい愛
それは自己をアイルランドに捧げるよう想わせる
そよ吹く風が幽谷を吹き抜けるとき
金色の大麦を、風は揺らす
いたましい言葉を発するのはつらかった
ふたりを絆で拘束するのは一層つらい
しかしさらにつらいのは不名誉に耐えつづけることだ
外国に巻かれた鎖の足かせという不名誉
それで私は言った、「渓谷よ」
朝早くに探しに行こう
探し出して『統一アイルランド連盟』に加わるのだ
そよ吹く風が大麦畑を揺らす間に
悲しくも、彼女の涙をキスでぬぐい
動く彼女を私のやさしい腕が抱き締めている時
敵の銃声が私たちの耳元に炸裂した
野生の森を起点に鳴り響く
弾丸は愛しいひとのわき腹を貫通した
そのあまりに早い青春のさ中
私の胸の中で血にまみれ彼女は死に絶えた
そよ吹く風は、その間も大麦を揺らしている
血を血で酬いて後悔せぬとき
オウラート・ホロウに近しいものを感じた
つめたい、神聖なる最愛のひとの死体を私は横たえた
私も、すぐにあとにつづくだろう
そう思い彼女の墓の周りをまわる
夜となく朝となく
心は痛み常に聞こえる
風の、大麦を揺らす音が
2006年、カンヌ映画祭のパルムドールは、英国社会派監督、ケン・ローチ氏の『THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY』(邦題・麦の穂をゆらす風)という作品です。1920年代のアイルランド独立紛争(戦争)を舞台に、運命か宿命か、戦争に飲み込まれ、引き裂かれる、ある家族の悲劇の物語です。ローチ氏八回目の出品で、ついに念願のパルム・ドール受賞となりました。 しかし、この映画、どうやら、日本では公開される様子がありません。描写が、残虐に過ぎるから配給会社が敬遠しているそうですが、これは噂。本当のところの理由は、私にはよくわかりません。
同名タイトルの曲は、みゅーずの古くからのレパートリーですが、こちらは、スコットランドの楽しいダンス曲(リール)です。 今回、アイルランドヴァージョンの同名曲にもチャレンジしてみることにしました。
(2006年7月10日みゅーず掲示板より)
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