森利行の装丁デザインも冴えに冴え、特集扉絵に關涼朱を迎え、新たに専属のDTP編集者も起用して、『正論』の大島編集長をして「『正論』よりも作りが立派だ」と言わしめた第四號。また、全体的に文章のレベルも向上し、充実した誌面になって来ました。
特集「日本とアジア」は、これまでで最も成功した特集になり、読み応えがあります。潜在していたアジア主義的志向が顕在化したのも、この特集からです。『POP ASIA』のライターで朝鮮半島・中華圏の文化に詳しい高来れいさんにゲストとして寄稿して頂いたり、様々なアジア関連のネットワークができるきっかけにもなった特集でした。高坂相の韓国漫画論・アジア映画論やプラム・Sの気宇壮大な「大東亞アイドル共栄圏の思想」から、アジアサブカルチャーネットワークが拡がりそうな気配です。
新同人として、長岡千尋・宮村直佳が加わりました。歌人・國學者の長岡さんによる古代幻視小説「臺與」は、古代ファン・国文学ファン・幻想文学ファン必読の名作です。創刊號当時からの同人だった斎藤建の文章も初掲載されています。
巻頭の「東アジアと近代日本の幻夢」は、坂本裕久さんの遺作となりました。アジア諸民族の平和的共存を願った文章でした。
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